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【告知】物件状況確認書の位置づけ【売主しか知らない事実】

告知

こんにちは、まめおです。

おうちは一般商品に比べ大きな買い物になることはもちろん、さまざまな法規制や制度の仕組みを知り手続きを踏まなければならないことから、個人の一般消費者にとっては、不動産取引は複雑な印象や敷居の高いイメージがあるにではないでしょうか。

そこでとっても頼りになる存在が仲介役を果たしてくれる宅地建物取引業者の存在です!

しかしながらプロである宅建業者は何をしてくれるのでしょうか?

  1. 宅建業者がどこまで取引に関わってくれるのかな?
  2. 宅建業者がどこまで責任をもって安心・安全を確保してくれるのかな?
  3. 宅建業者に何を頼めて何を頼めないのかな?

漠然としていまいちイメージをつかめていないという方も少なくないのではないでしょうか?

まめお

宅建業者の活動は大きくわけて3つ!

  1. 取引の対象となるおうちを、商品として取り扱えるものへと体裁を整えていく準備活動
  2. 買主を探す販売活動
  3. 売主と買主の間に立ち、売買契約を取り結んで決済と引き渡しをサポートする活動

【具体的には】

  1. 個人間では取引を行う相手を見つけるのが難しいといった問題を解決
  2. 取引の対象となるおうちの私法上・公法上の権利関係や関連する規制、周辺との関係、取引条件などについて、十分な調査能力と知識をもって明確化
  3. 当事者双方にとって、望まない契約の成立など思わぬ損害が生じるリスクを低減

宅建業者には不動産売買を仲介するにあたり、本人確認やおうちに関する基礎的な調査を行い業者として知ったことを「重要事項説明」として漏らさず説明する義務があります。

契約成立までの間に、必ず行うべきとされており、宅地建物取引士の有資格者が、内容を記載した書面に記名・押印し、書面として出すことも必要とされています。

重要事項説明書
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宅建業者が調査しても確認できないことを、売主が隠していたためにトラブルや損害が発生した場合は例外となりますが、調査不足や説明における不備が原因で発生した損害は、仲介業者の責任になります。

しかし、売主にしか分からないおうちの過去や見えない欠陥については、宅建業者がすべてを把握することも困難となりがちです。

そこで多くの場合「物件状況確認書(告知書)」を売主の協力を得て作成し、説明に反映させるといったことを行うようにしています。

買主は物件を直接自分の目でチェックするとともに、この「物件状況確認書(告知書)」で現況を確認し事後のトラブルを防ぐことも大切になってきます。

今回はこの売主のみが知り得ることを告知した「物件状況確認書」について見ていきたいと思います。

この記事を読むことによって、宅建業者の調査だけでは見えてこない「売主しか知らない事実」とは何かを理解でき、また将来の紛争防止にも役立てることができるようになると思います。

売主しか知らない事実

宅建業者は本人確認やおうちに関する基礎的な調査を行い業者として知ったことを「重要事項説明」として作成し、資格者である宅地建物取引士が漏らさず説明することによって、取引の対象であるおうちについて買主に正しく理解してもらうように努めています。

しかし、プロである宅地建物取引士でも調査ができないことがあります。

それは「売主しか知らない事実」です。

【売主しか知らない事実の例】

  1. 敷地境界をめぐって隣人と揉めたことがあった。
  2. 少し離れた工場から風向きによっては異臭がする。
  3. 雨漏りや地盤の傾きなどの不具合がある。

こらのことは実際にそのおうちに住んでいる人にしか分からない事実であり、その人が告知してくれなければ、宅建業者がいくら調査しても知り得ることではありません。

これらの事実について売主が知っていながら告知しなかったり、事実ではない告知を行った場合には、契約解除や損害賠償等の法的責任を負う可能性があります。

そこで国土交通省はこの売主しか知らない事実を「物件状況確認書(告知書)」として書面にまとめ買主に対して提出することで、将来の紛争防止に役立てることが望ましいと指導しています。

物件状況確認書(告知書)の主な記入内容

建物について

雨漏り

・天井だけではなく、外壁やサッシ取付部分等からの吹き込みやシミなど

シロアリ被害

・取引の対象となるおうち、敷地内の物置、建物周辺部の植木など

蟻害
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建物の不具合(傾き、腐食、不具合等)

・建物全体及び部分的な傾き

・木部の腐食(特に浴室、洗面所、台所等の水回り)

・サビ(ベランダ等の鉄性部分)など

増改築・修繕・リフォーム履歴及び資料

・増改築・修繕・リフォームなどを行っているか?

・実施している場合は実施箇所及び保存している資料

建物状況調査

インスペクション
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耐震診断及び地盤に対する安全性に関する資料

・耐震基準適合証明書

・住宅品確法に定める住宅性能評価書

・耐震診断結果など

住宅性能評価

新築時の資料及び分譲業者名

・新築時の建築確認済証、検査済証、設計図書

・建設業者、不動産流通業者名など

土地について

境界

・境界に関する取り決めの有無

・共有塀の有無や管理方法

・境界についての引継ぎ事項など

越境

・屋根・ひさし、堀・フェンス、擁壁、樹木等の隣地への越境

・隣地からの越境

・道路への越境

給排水管・ガス管

・公道以外の第三者所有地経由で引き込んでいる場合

・敷地に第三者の配管が通過している場合

地盤の沈下・軟弱

・地盤が弱い(過去に水田、池・沼であった)

・建物建築にあたり通常よりも強固な基礎が必要など

土壌汚染の可能性

・土壌汚染等の存在または可能性の有無

・過去の所有者と利用状況

・周辺の土地の過去や現在の利用状況など

敷地内残存物

・旧建物の基礎や建築廃材

・不使用の浄化槽・井戸など

周辺環境について

騒音・振動・臭気等

周辺環境に影響を及ぼすと思われる施設等

近隣の建築計画等

電波障害

浸水等の被害

事件・事故・火災等

近隣との申し合わせ事項

その他売主から買主へ引き継ぐ事項

まとめ

いかがでしたか?

専門家である宅建業者が調査しても不明事項が残る「売主しか知らない事実」について、物件状況確認書(告知書)をとおしてその内容を見てきました。

引き渡されたおうちが種類又は品質等に関し契約の内容に適合しない場合には、特約がない限り売主は契約不適合責任を負うことになります。

特に売主が欠陥や不具合を知っているにも関わらず買主に告知しない場合には、特約の有無に関わらず売主は責任を負う可能性があります。

物件状況確認書(告知書)は、買主が購入する際の判断基準に影響する資料と位置づけられています。

事後の紛争を防ぐためにも、また後に「言った、言わない」とならないためにも書面にしておくことが大切ではないでしょうか?