こんにちは、まめおです。
中古のおうちの売買にあたり、情報の不足や見えない欠陥に対する不安を払拭し、市場の健全な流通を活性化させることを目的として導入された「既存住宅売買かし保険」は、売主にも買主にも多くのメリットをもたらします。
- おうちを引き渡したあとに、住み始めてから発見された構造耐力上の問題や、雨漏り・蟻害といった住機能として深刻な問題となる瑕疵があった場合、それを補修するために負うこととなる買主の損害を保険でカバーできる。
- 加入にあたって実施するおうちの所定検査もあわせて提供されることから、素人では分かりにくい中古のおうちのの品質に安心と保証を付加価値としてつけられる。
しかし、既存住宅売買かし保険を活用するメリットはこの「安心」と「保証」だけにはとどまりません。
実は、多くの税制上のメリットを得ることができるのです。
今回は、この加入によって受けられる税優遇措置等について詳しくみていきたいと思います。
この記事を読むことで、既存住宅売買かし保険を活用することによる税制上の軽減措置適用等の内容について、メリットを実感することができるようになると思います。
安心と保証に加えてこんなにお得!
既存住宅売買かし保険を活用して得られるメリットは大きく7つあります。
【税制上のメリット】
- 不動産取得税の軽減措置
- 住宅ローン減税措置
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贈与税の住宅取得等資金の非課税制度
【その他のメリット】
- すまい給付金
- フラット35中間検査の省略
- 耐震基準適合証明の代替
- 自治体・金融機関でのメリット
それではひとつずつ内容を見ていきましょう。
メリット1:不動産取得税の軽減措置について
【不動産取得税とは】
- 都道府県単位で課税
- 土地や家屋の売買・贈与で発生
- 取得後半年程度で納税が求められる制度
- この家屋にかかる不動産取得税で、固定資産税課税標準から、中古住宅の建築時期に応じた控除額を差し引き、それに3%をかけた額で納付
- 家屋の不動産取得税=(固定資産税課税標準-控除額)×税率(3%)
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控除額は最大1,200万円
【適用条件】
- 自らが居住する住宅であること
- 床面積が50~240㎡であること
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入後2年以内
メリット2:住宅ローン減税措置について
【住宅ローン控除とは】
- 住宅の取得等にあたり返済期間10年以上の住宅ローンを利用する場合
- 居住年から10年間にわたり年末の借入残高に応じた所得税額などから一定額の控除を受けられる制度
- 既存住宅売買かし保険における「保険付保証明書」が、耐震基準を満たす中古住宅としての証明書類として利用可能となり、所得税額の特別控除が認められる。
- 個人が売主の場合は、返済期間10年以上、借入限度額2,000万円で1%、最大200万円の控除が適用
- 業者が売主の場合は、返済期間10年以上、借入限度額4,000万円で1%、最大400万円の控除が適用
【適用条件】
- 合計所得金額が3,000万円以下の人であること
- 同一生計の親族などからの贈与による取得でないこと
- 居住した年とその前後2年間(通算5年)の間に「3,000万円特別控除の特例」等の特例措置の適用を受けていないこと
- 自らの居住用住宅であること
- 床面積50%以上が居住部分であること
- 床面積が50平方メートル以上であること
- 取得後6カ月以内に居住し、控除を受ける年の年末まで継続して居住していること
メリット3:贈与税の住宅取得等資金の非課税制度について
【贈与税の住宅取得等資金の非課税制度とは】
- 父母・祖父母からの直系尊属から資金提供を受けて、住宅を新築・増改築等をした場合に贈与税が一定額まで非課税になる制度
- 既存住宅売買かし保険における「保険付保証明書」が、耐震基準を満たす中古住宅としての証明書類として利用可能となり、直系尊属から住宅取得のための資金として贈与を受けた場合の、非課税措置対象に認められる。
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非課税となる限度額は、住宅の取得などにかかる契約締結日がいつであるかや、消費税などの税率がいくらかによって異なる。
契約締結日 | 省エネ住宅 | 左記以外の住宅 |
2020年4月1日~2021年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
2021年4月1日~2021年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
【適用条件】
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに取得して自ら居住すること
- 床面積50%以上が居住部分であること
- 床面積が50~240㎡であること
- 既存住宅売買瑕疵保険加入後2年以内であること
メリット4:すまい給付金について
【すまい給付金とは】
- 消費税の引き上げにより、住宅取得にかかる負担が増大することを鑑みて設けられた制度
- 納税している所得税額や住民税額が少ないことから、住宅ローン控除による負担減効果が及びにくい人に対して現金を給付
- 条件を満たせば、住宅ローンを利用しない人でも対象
- 給付額=給付基礎額×持分割合
注1:収入額の目安:都道府県民税の所得税割額によって決定
注2:収入の確認方法:市区町村が発行する課税証明書に記載される都道府県民税の所得税割額によって確認
注3:持分割合:建物の登記事項証明書(権利部)により確認
収入額の目安 | 都道府県民税の所得割額 | 給付基礎額 |
450万円以下 | 7.60万円以下 | 50万円 |
450万円超525万円以下 | 7.60万円超9.79万円以下 | 40万円 |
525万円超600万円以下 | 9.79万円超11.90万円以下 | 30万円 |
600万円超675万円以下 | 11.90万円超14.06万円以下 | 20万円 |
675万円超775万円以下 | 14.06万円超17.26万円以下 | 10万円 |
注1:収入額は、夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人のモデル世帯において住宅を取得する場合の収入額の目安です。
【適用条件】
- 床面積が50㎡以上であること
- 既存住宅売買かし保険へ加入した住宅であること
- 現行の耐震基準を満たす住宅であること
- 消費税の課税対象となる住宅であること
注1:現行の耐震基準を満たした住宅とは、原則として1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認申請を取得した住宅のことをいいます。
注2:消費税の課税対象となる住宅とは、宅地建物取引業者による買取再販など法人から取得する住宅のことをいいます。
個人が売主となる住宅は、個人は消費税の課税事業者ではないため、建物に消費税が発生せず、すまい給付金の対象とはなりません。
メリット5:フラット35中間検査の省略について
【フラット35とは】
- フラット35Sは、省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅を取得する際に、借入金利を一定期間引き下げることができます。耐震性については、耐震等級2以上の住宅であれば基準を満たします。
- 既存住宅売買かし保険に加入している建物を購入すると、フラット35の中間検査を省略することができます。
【耐震等級について】
- 新耐震基準(上部構造評点1.0)の1.25倍(上部構造評点1.25以上)が耐震等級2
- 新耐震基準の1.5倍以上(上部構造評点1.5以上)が耐震等級3となります。
メリット6:耐震基準適合証明の代替について
【耐震基準適合証明書】とは
- いままで見てきた税の優遇を受けるためにの必要書類
- 耐震診断を行い、基準に適合することが確認された上で発行
- 耐震診断の費用が必要
- 中古住宅の場合、竣工当時の平面図や断面図といった図面がないことがあり、耐震診断を行うことが困難な場合が多い。
- 既存住宅売買かし保険に加入することで、「耐震基準適合証明書」が不要
メリット7:自治体・金融機関でのメリットについて
- 自治体によって補助金が設定されていたり、融資や利子補給を受けたりすることができる場合がある。
- 金融機関で融資条件が有利になる優遇措置を設けている場合がある。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
既存住宅売買かし保険に加入することにより得られる税制上及びその他のメリットを見てきました。
- 住宅ローン減税:個人間売買の場合は10年間で最大200万円の減税
- 贈与税:2020年4月1日~2021年3月31日契約の省エネ住宅以外では1,000万円までの控除額(既存住宅売買かし保険に加入していない場合は、基礎控除110万円のみ)
- すまい給付金:宅建業者からの購入で最大50万円の給付
上記軽減措置等の内容は一部の参考例で制度毎に期限が設けられているなど、実際の制度利用にあたっては各種制度の公開情報を都度確認する必要がありますが、一般的な中古住宅市場におけるモデルとなりそうな物件を想定してもかなりの金額が見込めます。
既存住宅売買かし保険に加入にあたっては検査料と保険料が必要となりますが、節税効果や給付金・補助金交付において、大いにメリットとなる可能性があることを理解いただけたと思います。
少し複雑に思われる部分もあるかもしれませんが、既存住宅売買かし保険の仕組みを知り、上手く付き合っていきたいですね。