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【対策】所有者不明土地特定の負担軽減を【抜本的な対策の必要性】

所有者不明土地

こんにちは、まめおです。

最近良よく聞く所有者不明土地の問題。

少子高齢化核家族化、地方における深刻な過疎化地価の二極化などを背景に、誰が持ち主であるかが分からない所有者不明土地が全国で増加してきています。

【増加の原因】

  1. 相続時における不動産登記簿上の変更手続きが行われないまま長年放置され、実態と乖離した状況で法定相続人の数だけがねずみ算的に増加しているケース
  2. 資産価値が低下して保有することが固定資産税や維持・管理コストの負担に見合わないものとなり、手をつけることが避けられているケース
  3. 古い地縁・血縁社会での慣習からそもそも登記上の情報が不足しているケース など

こうして生まれる所有者不明土地は年々増加し、有識者らの研究会がまとめた調査結果では日本全国で合計410万ヘクタール九州の総面積を上回るところまできているとされ大きな社会問題になっています。

今回はこの増え続ける所有者不明土地への抜本的対策や残された論点などをみていきたいと思います。

この記事を読むことによって、増え続ける所有者不明土地の問題を認識し、抜本的対策のために何ができるのか、また、何をしていかなければいけないのかをイメージすることができるようになると思います。

所有者不明土地の問題

  1. 所有者の所在や生死が直ちに判明しない、判明しても連絡がつかないような所有者不明土地は管理者も不明となりますから、必然的に荒れ地となり周辺地域の景観や治安悪化を招きます。
  2. 課税対象者も特定できず税の公平負担上も問題となり、財政面にも大きな影響を与えます。
  3. 公益に資する道路や公園・河川の整備農地の集約化・土砂災害の防止をはじめとした防災整備・災害発生後の復旧復興といった事業を進める際、対象となる計画地が一部でもそうした所有者不明土地にかかっているとその所有者を捜索し同意を得る手続きを進めなければならないため、スムーズな事業推進の大きな妨げとなりコスト・工期とも大幅な見直しを強いられることになります。
  4. 二次災害の発生が懸念される場合や、救急車両が通行できないといった緊急性が高い場合も少なくなく、広く市民生活に支障をきたすものとなっています。

抜本的な制度改革へ

このように公共事業の停滞・遅延土地の有効活用の妨げ税収面による経済的な損失を生む所有者不明土地は、今後さらに増加すると見込まれることから早急な対策が必要になっています。

国土交通省の取り組み

【多様な状況に応じた所有者特定の負担軽減のために】

  1. 所有者をよりスムーズに探索・特定できる環境を作るため、探索方法の整理活用できる補助制度の紹介活用事例など現場の実務に活かせるガイドラインの策定
  2. 保存期間経過後の除票の活用
  3. 弁護士会・司法書士会・土地家屋調査士会・不動産鑑定士協会連合会など関連する団体とも協力したサポート体制の構築

法務局の取り組み

【相続登記の促進のために】

  1. 法務局と司法書士会が連携して行う市区町村での死亡届受理時などにおける働きかけ周知
  2. 土地への関心が高まる機会の創出

所有者不明土地特別措置法

  1. 公益性のある事業利用で明確な反対者がいない場合は、都道府県知事の裁定で所有者不明土地の利用も可能とする特別措置法が策定されました。
  2. この新制度は土地利用を計画する自治体などが都道府県知事に申請を行い、知事は地元の意見などから裁定し土地の利用権を権限で設定できるようになります。
  3. ただし利用には期間の限定をつけ所有者が現れなかった場合の更新制とすること、所有者が現れた場合は原状回復して明け渡すか、あらためて了解を得ることともしています。
  4. 所有者がのちに現れた場合に備え、利用期間中の賃料に相当する金銭の供託も行っておくので私有権にも配慮されています。

今後の課題

登記関連

  1. 情報の更新が担保され実際を反映したものとなるよう不動産登記の義務化やそれに伴う罰則の制定の必要性
  2. 遺産分割協議が未了など相続登記できない事情がある場合は現所有者の法務局への届出を義務化する必要性
  3. 手続きを行わなくとも当人らに支障が生じない現状を変え相続登記にかかる登録免許税の減免措置を創設するなど、費用負担を軽減するなど自発的な相続登記を促す必要性
  4. 法務局内にある死亡届情報を活用する必要性

その他

  1. 現行では土地所有権を放棄する明確な規定がないため管理困難な土地を手放せる制度の創設の必要性
  2. マイナンバー制度の不動産登記における活用の必要性
  3. 手続きを簡略化する公式のポータルサイト開設の必要性

まとめ

いかがでしたか?

今回は所有者不明土地の問題について、現行行われている諸制度の解説及び今後必要とされる論点などを中心に見てきました。

国としても社会情勢の変化を踏まえた新しい国土政策土地制度について長期的な視点からの政策論議が必要としており、今後抜本的な改革を視野に入れた動きが本格化する可能性があります。

こうした問題は日本ばかりでなく他の先進国などでもみられ、米国ではランドバンクと呼ばれる媒介組織が管理されていない土地老朽化した住宅物件を取得し、地域のニーズに合わせて売却やリースや保全を行うといった事業を公的に展開することで対応しています。

日本版ランドバンクの必要性は?

土地の権利と利用に関しては地域文化に根付くところが大きく、そのまま日本に適用できるものではありませんが、こうした海外の先駆的事例も参考に幅広く対策が検討されるべき時期に来ているのではないでしょうか。

今後の動向を注視しつつ、私たちひとりひとりも考えていくべき問題となっています。