こんにちは、まめおです。
マンションに居住されている方なら「長期修繕計画」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし存在は知っていても、なぜ必要でどう作成されているのかいまいちよく理解できていないという方もいるかもしれません。
どんなに素晴らしい計画で作りあげた新築マンションでも、完成してから時間が経過すればそれとともに痛みが発生することは避けられません。
日々生活し使用する住まい空間ももちろん例外ではなく、すべての建物で住み始めれば経年劣化が生じ性能も低下していってしまいます。
近年のマンションは高い品質と性能をもって頑丈に設計されている物件やさまざまな付加価値となる工夫が施されている物件が増えていますが、そうした価値を維持するためには適切なメンテナンスが不可欠です。
あらゆる物と同様に建物にも一定の寿命はあります。
大切な住まいですからできる限りその寿命を延ばし、新築当初の機能を失わせることなく快適な居住環境と資産価値を維持させていきたいものです。
そのために中長期的な視野から適時適切な修繕工事を実施していけるよう、あらかじめ予定表として策定しておくのが「長期修繕計画」なのです。
【長期修繕計画とは】
中長期的な視野から適時適切な修繕工事を実施していけるよう、あらかじめ予定表として策定しておくもの
今回は「長期修繕計画」にスポットをあて、その意義や知っておきたいポイントなどについて見ていきたいと思います。
この記事を読むことによって、マンションにおける長期修繕計画の意義やその必要性を理解し、具体的な作成手順などをイメージすることができるようになると思います。
長期修繕計画策定5つのポイント
高い計画性が必要
痛みが目立ってきたら、また何らかの不具合が生じたら、その都度その部分を補修・修繕するという方法でも最低限の対処をとることは可能です。
しかしそれは建物にとって最善の方法とはいえず、あくまで使うための応急処置で対応しているにすぎません。
部位や材料によって異なる寿命から手を入れるべきタイミングが予測できるならば、深刻な痛みとなる前に修繕を行うことでより長く快適に住める空間として、また新築時に劣らぬ価値をもつものとして、効率よく保全を図れるようになります。
- 異なる寿命から手を入れるべきタイミングが予測
- 深刻な痛みとなる前に修繕を行う
- 効率よく保全を図る
マンションのような一定以上の規模をもち複数の人々・世帯が生活する建物であればなお、修繕に高い計画性が必要であり共同で価値を維持・向上させていく考えを取り入れることが大切です。
長期修繕計画標準様式
「長期修繕計画」では20年・30年といった先を見据えて、いつ頃・何を・どのように・いくらくらいの予算で修繕するか、適切なメンテナンスの周期や項目を定めておきます。
- いつ頃
- 何を
- どのように
- いくらくらいの予算
- 適切なメンテナンスの周期や項目 など
物件の種類や立地環境など個々に条件が異なり、適切なタイミングや工事の種別もさまざまなものとなりがちです。
そこで作成者によってあまりに考え方が異なったり含むべき内容がもれていたりするままにはならないよう、2008年に国土交通省が「長期修繕計画標準様式」を定めて公開しました。
現在はこれをベースに作成することが基本となっています。
①標準的な「推定修繕工事項目」を具体的に提示
②「長期修繕計画作成ガイドライン」とともに提供
積立の根拠を明確にする
修繕や改修を行う際には、当然ですがまとまった費用が必要になります。
これには一般に入居者から毎月徴収されている修繕積立金を資金として充てるようになっていますが、この積立の根拠を明確にするという意味でも「長期修繕計画」は重要な役割を果たします。
積立の方式では将来的な引き上げ額の幅を少なくし過剰な入居者への負担とならないようにしながら円滑な運用を実現させる観点から、均等積立方式が望ましいとされていますが、場合によっては、他に段階増額方式や一時金徴収方式が採られることもあります。
① 均等積立方式
② 段階増額方式
③ 一時金徴収方式
情報伝達手段
大規模な修繕を行う場合は急に始めることはできませんから、およそ1~2年前から着手することになります。
そうした場合、マンションの管理組合役員の任期は1年が多く、準備から実施でメンバーが替わり情報がうまく伝達されないということもあり得ます。
しかし「長期修繕計画」がしっかりと作成され、その予定を関係者みなが同意している状態が確保されていれば、混乱を防ぎ、スムーズに工事への準備・実施・アフターとプロセスを進めやすくなります。
- 管理組合役員の任期は1年が多い
- 混乱を防ぎ、工事への準備・実施・アフターとプロセスをスムーズに次期役員に引き継ぐ
将来ビジョンの提示
単純な修繕だけでなく資産としての価値向上や性能改善にかかる改修を含む場合もありますから、計画はあらかじめ居住者の要望を反映させる必要があります。
- どのような暮らしを望むのか?
- その実現に必要な建物や設備はどのようであるべきか?
住民の共通理解のもとにあるマンションの将来ビジョンとしておくことが望ましいですね。
まとめ
いいかがでしたか?
今回はマンションの長期修繕計画策定のポイントについて見てきました。
計画は一度作成すれば完璧というものではありません。
5年といった一定期間が経過した時点で、定期的に見直しを行うことが大切です。
これによって現実との乖離がない内容で関係者がそれぞれ了解・承認し、運用していくことで大きな意義・効果を発揮するものと思います。
このように「長期修繕計画」は、中長期的な視野に立ち、定期的に必要な修繕・改修を円滑に行っていくために不可欠なものです。
長期修繕計画は資産であるマンションの寿命を長くするほか、快適な居住環境と価値、性能の維持確保、改善を実現するために策定されるものです。
①資産であるマンションの長寿命化
②快適な居住環境と価値や性能の維持確保・改善を実現
この意義を理解し、有効に活用していきたいですね。