こんにちは、まめおです。
読売新聞に「路線価 減額補正見送り」という記事出ました。
国税庁は28日、相続税などの算定基準となる2020年分の路線価(1月1日時点)について、減額補正を当面見送ると明らかにしました。
2020年10月29日読売新聞朝刊
【判断の根拠】
新型コロナウィルスの影響で地価は下落しているが、6月末の再調査時点で、大幅な下落までは確認されなかったため。
ただ、年末にかけて調査は継続し地価の大幅な下落が確認されれば補正を再検討するとしています。
新型コロナウィルスの影響で実社会が大きなダメージを受けているなか、本当に大幅な下落はなかったのでしょうか?
今回は路線価に対する新型コロナウィルスの影響について見ていくとともに、大幅な下落についての解釈について見ていきたいと思います。
この記事を読むことによって、路線価の基礎的知識を得るとともに、新型コロナウィルスの影響についてどうのように考えていけばいいのかイメージすることができるようになると思います。
路線価について
【路線価】
- 全国の主要道路に面した1平方メートルあたりの土地の評価額です。
- 国税庁は毎年1月1日時点の調査を基に公表しています。
- 相続税や贈与税の算定基準となっています。
- 一般的には実勢価格の80%程度とされています。
6月末再調査の概要
再調査理由
・コロナの感染拡大の影響で地価下落が想定されるため
再調査時点
・半年後の6月末時点
再調査範囲
・全国約1900の市区町村を対象
再調査結果
・広範な地域で大幅な地価下落があった場合路線価の補正も検討していたが、そこまでの大幅下落は確認されなかったとして補正を見送った。
大幅な下落があった地点
①名古屋市中区錦3丁目(マイナス19%)
②大阪市中央区宗右衛門町(同19%)
③東京都台東区浅草1丁目(同16%)
④名古屋市中区栄3丁目(同15%)
⑤東京都大東区大須3丁目(同15%)
⑥大阪士中央区心斎橋筋2丁目(同15%)
いずれも観光地や繁華街に近く、訪日外国人観光客がころな禍で激減し土地需要が減退した影響とみられると分析しています。
補正の見送りについて考える
6月末再調査の最大下落率はマイナス19%となっていますが、この19%マイナスでは補正をしないということが明示されました。
19%のマイナスは大幅な下落ではないということなんでしょうか…
過去の補正率について
東日本大震災の時の調整率
【東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(震災特例法)】
- 平成23年3月10日以前に相続等または贈与により取得した指定地域内の土地等(特定土地等)に係る相続税・贈与税
- 同月11日以後に申告期限が到来するもの
- 震災による地価下落を反映させるため
- 特定土地等の価額を相続等または贈与の時の時価によらず「震災の発生直後の価額」によることができるとして調整率を公表
阪神淡路大震災の時の調整率
まとめ
いかがでしたか?
今回は6月末時点における新型コロナウィルスの影響が土地の時価に与えた影響の調査結果について見てきました。
調査結果は最大でマイナス19%
一般的に路線価は実勢価格の80%
国税庁は地価が20%以上下落する状況が全国の広範囲に及んでいないかなどを目安に調整率を検討するとしてきましたので、今回は補正の必要なしと判断されたと思われます。
しかし、住宅地については次第に大きな下落は無さそうな状況が見えてきましたが商業地についてはこれからも下落が続く可能性があります。
また、路線価はその路線に面する地域の全般に対する価格となっています。
商業地において路線全般に大きな下落がない地域であっても、個別の不動産を見るとテナントの退去や賃料の下落を大きく受けている可能性があります。
国税庁の発表は減額補正の見送りとなりましたが、商業ビル等の不動産については今後も個々に注視していく必要があると思います。