こんにちは、まめおです。
個人の投資家で現物を対象とした不動産投資で資産形成を図る場合、多くのケースが土地活用の手段としてマンション・アパート・戸建の賃貸経営を検討するのではないでしょうか。
賃貸経営を行えば土地と建物の資産をもとに、毎月の家賃収入を得ることができるようになります。
不動産投資は流動性が低く、まとまった投資での中長期の保有が基本となります。
そのなかで賃貸経営を組み合わせることで得られる家賃収入という安定した収入源を得ることは非常に重要なものであり、投資事業活動全体の成否を握るポイントにもなると思います。
家賃収入という安定した収入源を得ることは非常に重要!
そこで今回はこの賃貸経営で知っておきたい「補償」について見ていきたいと思います。
この記事を読むことによって、賃貸経営における補償の考え方を理解し、空室リスクへの対応などをイメージすることができるようになると思います。
家賃補償の種類
いうまでもなく賃貸経営最大のリスクは入居者が決まらず空室が発生して、当初想定した家賃収入が得られなくなることでしょう。
このリスクに対応するものとして、しばしば「家賃補償」という仕組みが出てきます。
語感からいうと何となく家賃が確実に入るような保証と期待を抱きがちですが、そう単純なものでもありません。
まずこのオーナー向けの家賃保証には大別して2つの種類があります。
一つは「空室補償」で、もう一つは一括借上げとも呼ばれる「サブリース」です。
【家賃保証の種類】
- 空室補償
- サブリース
これらは似て非なるものですから、それぞれを詳しくみていきたいと思います。
空室補償
【空室補償とは】
- 一般社団法人全国賃貸経営補償機構が提供する制度
- 毎月固定の掛金を保証料として支払う
- 賃貸経営で発生した空室分の家賃における一定額を補塡
- 収入がゼロになるリスクを回避する給付金
- 機構の代理店を通じてオーナーが補償に関する契約を締結し一定額の家賃収入を確保
- 物件の状況や掛金などで選べる複数のコース
- 例えば90%補償コースを選択すると、毎月5%の掛金負担で家賃の90%がオーナーの最大収入率
- 機構は毎月物件の入居状況確認を行い家賃収入率を計算し全体の家賃収入率が保証率に満たない場合、その差額分を「給付金」として翌月末に支払いマイナスを補塡
得られる収入は満室を想定するとやや目減りしますが、最大90%で固定された収入を確保できる安心は利用におけるメリットになると思います。
- 管理会社の利用やリフォームの実施・家賃の見直しなど運営にかかる細かな縛りがなく、一定の条件を満たせば柔軟に利用できる。
- 毎月支払う掛金は賃貸経営上の経費として計上できるので税制面のメリットもあります。
補償条件や契約期間・必要な諸費用は物件によって異なる場合もあり、それぞれ利用に際して審査があります。
サブリース
【サブリースとは】
- オーナー向けサービスとして大手不動産会社やハウスメーカーが提供している仕組み。
- 業者がオーナーから物件を一括で借上げ、入居希望者に転貸しすることをベースとした家賃補償の制度となります。
- 通常の賃貸経営ならばオーナーが入居者と賃貸借契約を結びますが、サブリースの場合はオーナーが結ぶのは業者とのサブリース契約のみで個々の入居者との契約は業者が結ぶことになります。
- オーナーは入居者募集や契約・更新だけでなく、家賃の集金・滞納催促・クレーム処理・物件の設備修繕など諸管理まですべて任せることができるため、手間をかけることなく運用が行えます。
- 物件の全室を業者が一手に借上げる契約となっており、たとえ入居者が見つからず空室となっても入ってくる家賃収入が減ることはありません。
手軽さと空室リスクのなさがサブリースのメリットになります。
- 補償される家賃収入は80~90%が中心です。
- 敷金・礼金や更新料などそれ以外の収入は補償する業者側の取り分となり、どうしても収益性が落ちる。
- 管理とセットになっているため家賃の設定をはじめとした運用における判断をオーナーが自由に行えない。
- 業者は物件の老朽化や競合物件の登場などの条件を加味し空室発生をできるだけ避けるように動くため、家賃をあらかじめ相場より低く設定したり賃料改定による値下げを繰り返したりします。
オーナーに支払われる額もそれに伴って低減することになり、さらに想定した収入より低い額しか得られなくなってしまう可能性があります。この可能性を加味せずローンの返済計画を組んでしまうと大きな損害を被る危険があります。
【免責期間】
- 入居者が退去した後など新たな入居者が決まり家賃が入り始めるにはある程度期間が空くと考えられており、一定期間はオーナーにも賃料支払いを行わなくてよいという条件が付けられていることがあります。
- 通常2~3カ月程度ですが、入れ替わりが頻繁にある場合はこの免責期間による家賃収入の喪失も非常に大きなものとなる可能性があります。
【その他】
- 修繕についてもサブリース業者が施工業者を決定し、計画を決めてくるかたちになるため、オーナーにとっては運用の自由がききません。
- 収益性が落ちたと判断し売却を希望しても20年や30年といった長期一括借上げの契約になっていることが多いため、その間は売却もできないというケースも見られます。
- 長期の契約として、業者の経営不振や倒産リスクも考えておく必要があります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は家賃補償のうち、空室補償とサブリースを中心に見てきました。
サブリースの場合は実質的に管理・運用の権限を手間とともにすべて業者へ渡しオーナーは収益の一定配分を受けるという仕組みになりますから、利用する場合は契約内容を子細にチェックしておくことが重要です。
- サブリース契約を解約する際の条件は?
- 免責期間は長すぎないか?
- 家賃の最低保証金額設定は?
- 建物の建築にかかる契約は?
- 修繕工事の義務は?
- 運営諸費用の負担は?
疑問点を残さないよう精査しましょう。
空室補償とサブリースは同じように見えて実は違います。
賃貸経営の収入は家賃だけではなく、敷金・礼金・更新料もある!
不動産投資の賃貸経営における空室リスクは避けられないものであり、それにどう対処していくかは重要なポイントとなります。
空室補償とサブリースでは収益性に対する考え方も大きく変わってきます。
自身の投資スタイルや運用方針に合わせ、補償の仕組みも賢く利用するようにしてください。