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【負動産】空き家列島ニッポン【中古住宅市場活性化に込められた思い】

日本

こんにちは、まめおです。

むかしNHKスペシャルで「ニッポン”空き家列島”の衝撃」が放送されたのを知っているでしょうか?

空き家に関する数字(当時)

①全国の空き家820万戸

②現在の空き家率13.5%

20年後の空き家率32% など

実際におきている事象の紹介

①空き家の増加に伴い街が寂れ価値が下がる

空き巣放火リスク

③税収の多くを固定資産税に頼る自治体の財政難それに伴うインフラ維持の困難 など

討論における主な意見

①都市に住む若い世代を中心にコンパクトシティに賛成するという声

田舎に住む人の人権も守るべきという声

年老いた親には都心に住んで欲しいという声

集住は無理だし幸せにならないという声

介護を受けるには集住しないとサービスを受けられないという声 など

結論

人の心の深淵に関係し考え方は様々で解決策を導き出すのは難しい。

最後は哲学的な結論で終了するものの、人口減少や空き家率の増加に伴う自治体の税収減を原因として介護・医療・治安・水道・電気・道路・その他の公共サービスが当たり前のものではなくなる時代が来ることだけは事実として認識させられた番組でした。

公共サービスが当たり前のものではなくなる時代が来る!

また、巷では売るに売れない、貸すに貸せない、住むに住めない不動産の一番の問題を固定資産税・維持管理費・修繕積立金等の負債から一生逃れることができないことと捉え、「負動産」という言葉が生まれていると聞きます。

負動産=固定資産税・維持管理費・修繕積立金等の負債から一生逃れることができない!

このように漫然と向かえる未来について不動産へのマイナスイメージが認識されてきたなかで、国土交通省は人口減少・少子高齢化の進展等の社会経済変化への対応に動き始めています。

  1. ライフステージに応じた住み替えの促進
  2. 高齢者等の持ち家資産の資金化
  3. 資産価値増大によるストック活用型の経済成長の実現
  4. 適切に維持管理された優良な住宅ストックの循環利用
  5. 欧米諸国と比べると圧倒的に低い水準にある中古住宅流通市場の活性化

この記事では、消費者が安心して中古住宅を取引するための市場環境整備の内容を紹介するとともに、中古住宅市場活性化のキーワードに込められた思いを見ていきたいと思います。

この記事を読むことによって、負動産をいかに資産に変えていくのかについての動きを理解でき、これから自らの不動産を負動産に変えないための行動をイメージすることができるようになると思います。

消費者が安心して中古住宅を取引するための市場環境整備

【具体例】

  1. 情報提供体制の整備:不動産に係る情報ストックシステムの整備
  2. 取引の不安の解消・情報提供の促進:多様な消費者ニーズに対応した中古住宅取引モデルの検討
  3. 既存建物の評価方法の確立:不動産市場の変化に対応した鑑定評価手法の確立

「中古住宅市場活性化」というキーワードに込められているもの

中古住宅市場活性化の言葉にはいつのまにか次の論点が複雑に絡み合ってしまっているように感じます。

  1. 中古住宅流通量の倍増
  2. 住宅資産額500兆円毀損の解消
  3. 空き家問題・地方再生

中古住宅流通量の倍増

【思惑】

  1. 流通阻害要因の払拭
  2. 既存制度の周知と採用の強化
  3. 民法改正論議 など

住宅資産額500兆円毀損の解消

【思惑】

  1. 建物価格の適性評価
  2. 金融商品の健全な拡充 など

空き家問題・地方再生

【思惑】

  1. 建物価格データベース施策への利用
  2. 都市再構築 など

見えてきた課題や方向性

住宅流通量を増やす!

1.購入対象の住宅が如何なるものかの明示

  1. Spec(性能) Condition(状態)Worth(価値)
  2. 経済的耐用年数の表示
  3. 担保評価水準の統一
  4. リフォームの程度と水準の目線合わせ

2.瑕疵保険、フラット35、シロアリ検査等を建物調査時に一人の検査員で実施することの可否

3.買主の購入時における諸経費や税金の負担軽減措置

4.新築優遇から中古住宅流通優遇政策への転換

5.新築信仰からの脱却

6.ライフスタイルにあわせて住み替えるという雰囲気作り

7.金融機関の理解・担保評価への活用、ローン商品の開発

住宅資産額を上げる!

1.取引の中で売主買主が建物価格を意識するために土地建物価格の内訳表示の義務化

2.欠陥住宅が建てられないように検査済証の徹底

3.流通時点でインスペクション等による選別

4.金融機関による選別を行うため検査済証があること、違法建築でないこと、適切な維持管理等を融資の条件とすること

5.取引慣行の変更のためインスペクション報告書そのものに告知書の役割を持たせること

6.不動産を取り巻く関係者の規律向上

7.もったいないの視点

まとめ

いかがでしたか?

この記事では中古住宅市場活性化のキーワードに込められた思い今後の方向性などについて見てきました。

ここで改正民法のうち、中古住宅売買に影響を与える「瑕疵担保制度」の改正について見ておきたいと思います。

改正民法のうち「瑕疵担保制度」改正のポイント

売主の追完義務

改正において「瑕疵」という文言が使用されず「契約不適合」に取って代わり「隠れた」ものという要件も排除され、「売主の追完義務」として「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対して、目的物の修補代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」とし、当該追完義務を売主が実行しない場合「買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる」と規定されました。

契約の趣旨に適合するか否か

  1. 欠陥を買主が知っていた場合においても、全体の契約趣旨に照らして不適合であれば売主に責任が生じる
  2. 売主は買主が知り得ない情報を積極的に伝える義務が生じる。
まめお

インスペクションを利用して契約趣旨の不適合に繋がる欠陥の有無を事前に知り積極的な情報提供義務を果たすとともに、売主責任の軽減が期待されるところです。

インスペクション
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付随義務・保護義務

相手方の生命・身体・財産・その他の利益を害しないために、当該契約の趣旨に照らして必要と認められる行為をしなければならない。

まめお

瑕疵保険適合検査に適合となった住宅は引渡し前に売主側でオプションの保険料・保証料を支払うことによって瑕疵保険付住宅となり、万が一買主に損害が生じた場合にでも保険期間内であれば保険金が支払われることから、売主責任の軽減が期待されるところです。

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中古住宅市場活性化が目指すもの

  1. 20年で建物価値ゼロという市場慣行の変化
  2. 物理的に使える「利用価値」と市場で取引される「市場価値」の乖離を無くすこと
  3. 積み上げてきた資産(住宅投資額累計)が毀損しない仕組みにつなげていくこと
  4. 市場で評価されず具現化しない建物価値の回復に資すること

中古住宅市場活性化のために開発された各種制度の組み合わせは中古のおうちの取引時における単発での利用をイメージして制度設計されたものがほとんどです。

住宅ファイル
【提案】安心の詰め合わせ!【利用できる制度の組み合わせを考える】 こんにちは、まめおです。 あなたの大切な財産であるおうちを売ると決めたとき、また、買うと決めたときに知っておくべき制度は多くあり...

しかし中古住宅市場活性化というキーワードには様々な論点が組み合わさってきており、重要事項説明書(宅地建物取引士)、建物検査(インスペクター)、保証付シロアリ検査(防蟻業者)及びこれらを前提とした住宅価格評価(不動産鑑定士)の4点セットに「戸建住宅長期修繕計画書」を加える必要があるのではないかという意見が聞かれるようになってきたように思います。

戸建住宅の価値を維持していくためには使用に適するリフォームや修繕が必要であることから、瑕疵付保付おうちを購入した消費者に長期修繕計画を提案しようというものです。

【戸建住宅長期修繕計画書(案)】

  1. 長期修繕計画の策定
  2. 5年毎に実施状況をモニタリング
  3. 適合すれば瑕疵保険に再加入
  4. 再評価

例えばリバースモーゲージの普及時に、担保物件の建物価値を維持しなければ毎月の借入可能額が目減りするという事態になれば、所有者のリフォームや修繕への意識が高まるかもしれません。

そしてそのようなちょっとした意識の変化が、案外、中古住宅市場の活性化や建物の適性評価を根付かせることにつながるかもしれないと感じています。