こんにちは、まめおです。
空き家となっている中古のおうちの増加は、日本全国多くの地域で深刻度を増す社会的な問題となっています。
なかには所有者が分からなくなったり、適切な手入れがなされないために周辺環境にも安全面や防災面で悪影響を及ぼす可能性が出てきているものもあったりと早急に対応が必要なケースもあります。
こうしたなか、このような空き家を資産として再び活用し、新たな住まいを求めている人とのマッチングを図っていこうとする取り組みが進んでいます。
今回は自治体が関係するその代表的な試みである「空き家バンク制度」について見ていきたいと思います。
この記事を読むことによって、全国的に広まりつつある「空き家バンク制度」を知り、空き家問題の解消と地方創生の端緒をイメージすることができるようになると思います。
空き家バンク制度の概要
- 主に各地域の地方自治体や自治体から正式に委託を受けた団体によって運営
- 未利用となっている中古のおうちを所有するオーナーと、それを住まいとして再活用したい希望者とをマッチングし物件の情報を提供していく仕組み
空き家バンク設置済み:全自治体の約4割にあたる763自治体
空き家バンク導入準備中:全自治体の約2割の276自治体
国土交通省「地方自治体の空き家対策等に関する調査(2017年)」より
制度が広く普及していきているのがわかります。
- 自治体が売却・賃貸借・マイホーム借上げ制度の利用を希望する空き家所有オーナーに物件情報の登録を募ります。
- 自治体がその地域における住まいの購入や賃借を希望し、物件を探している人には利用者登録を促します。
- 仲介を希望する宅地建物取引業者など協力事業者にも事業者登録を募ります。
- 自治体が空き家バンク制度を窓口にこの三者の橋渡し役を担って、それぞれに必要情報を提供し円滑な取引の成立を促進させることを目指します。
①空き家バンクは営利を目的とするものではありません。
②目的はあくまでも未利用・低利用不動産の活用と地域への定住促進、地域活性という社会的なものになります。
空き家バンク制度のメリット
空き家となっている物件はその情報が広く開示されていないケースも多く、実際には価値があり潜在的な利用ニーズがある物件でも希望者のもとに情報として届かないことがありました。
情報が届きにくい要因としては、所有者がさまざまな事情から有効活用に踏み出しにくいことや、物件価格が安価で手数料もごく少ないものとなるため仲介する不動産業者が積極的に動かない傾向があることなどがありました。
【情報が届きにくい要因】
- 空き家の所有者がさまざまな事情から有効活用に踏み出しにくい。
- 空き家の物件価格が安価で手数料もごく少ないものとなるため仲介する不動産業者が積極的に動かない傾向がある。
空き家バンク制度ならば、所有者が物件登録にあたって補助金を取得することができるケースもあるため売却や貸出に前向きとなりやすいほか、定住人口やそれに伴う税収の確保と空き家問題の解消を図りたい自治体は積極的に情報発信を行っています。
- 所有者が物件登録にあたって補助金を取得することができるケースもあるため売却や貸出に前向きとなりやすい。
- 定住人口やそれに伴う税収の確保と空き家問題の解消を図りたい自治体は積極的に情報発信を行っている。
これまで民間の不動産会社では見つけにくかった物件情報も見つけやすくなり、利用検討者にとっては掘り出し物の物件に出会える可能性も高い環境となっています。
田舎暮らしなど新たな土地に移住して生活する先の住まいとして探す場合は地域の生活情報など知っておきたいことも多くなりますが、これらについて、管理する自治体職員が丁寧に応対し答えてくれます。
地元の人々からの理解を得やすくなる点や、マッチングを自治体が行うという点の安心感も大きなポイントです。
空き家バンク制度の拡充
いままでの空き家バンク制度は各自治体でバラバラに運営・情報提供がなされそれぞれのページにアクセスして比較しなければならないなど、物件探しにおいてやや不便な点もありましたが、2017年10月末からは国土交通省によって情報窓口の一元化が図られまとめて検索できる専用サイトも開設されました。
- 開示情報内容の項目統一化
- 全国どこからでも希望者が簡単に情報を検索し情報を取得できる仕組み
- 国土交通省のホームページからも閲覧可能
まとめ
いかがでしたか?
今回は益々使いやすくなった空き家バンク制度について見てきました。
設計当所は民業圧迫などの批判もありましたが、手数料が安価な物件も情報提供ができる仕組みとしてしだいに浸透してきました。
今では農地付や定住・移住に関する説明もある独自の空き家バンク制度もあります。
空き家バンク制度により空き家として眠っている中古のおうちの利活用が進めば、多様化する消費者のニーズを満たす住まいの選択肢の増加はもちろん、中古住宅の有効活用、地域の活性化、地方創生などにつながっていくと思われます。
今後の展開に注目していきたいですね。