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【誤解】安心R住宅はどこまで安全?【たんなる不安の軽減にすぎないのか】

リフォーム

こんにちは、まめおです。

まだまだ根強い新築信仰のおうち市場ですが、最近になってそうした状態を見直し中古のおうちの流通促進を図ろうという取り組みが見られるようになってきました。

そのようななか国土交通省は、一定の基準を満たした優良中古住宅を「安心R住宅」としてブランディングし、従来のマイナスイメージを払拭していく制度を打ち出しています。

価値ある住宅を安心してよりお得に購入できる環境適正な中古流通市場が構築されていくことは、広く私たち国民にとって望ましいことですが、やはり本当に安心・安全といえるのかが気になるところではないでしょうか?

  1. 不安 ⇒ 安心
  2. 古くて汚そう ⇒ きれい
  3. わかりにくい ⇒ わかりやすく

中古のおうちの場合、新築に比べて品質や取引における「不安」、安価である分「古くて汚そう」、情報が少なく「分かりにくい」といったマイナスイメージがあることが知られています。

良い立地に手頃な価格で物件が見つかっても、現状ではこうしたイメージから購入を躊躇するという人が少なくありません。

そこでこれらのマイナスイメージとして挙がるキーワードごとに対応と満たすべき品質基準を設け、国が関与することでいわばお墨付きブランドの中古のおうちとして販売できるようにした仕組みが「安心R住宅」制度です。

  1. 登録事業者団体を国が認可し、
  2. 登録事業者団体は、ルールの設定や不動産会社の審査・指導・監督を行い「安心R住宅」認定マークの使用を許可することによって、
  3. 安心R住宅の標章を付した中古のおうちが市場に供給される。

しかし、安心R住宅が本当に安心・安全かどうかは、まず満たすべきとされている要件がどのようなものか理解しなくては判断のしようがありません。

そこで今回は「安心R住宅」における安全性を中心に詳しくみていきたいと思います。

この記事を読むことによって、安心R住宅の安全性はどのレベルなのかを理解し、どのように考えていけばいいのかイメージすることができるようになると思います。

安全性に関するポイント

耐震基準

  1. 昭和56年6月1日以降に建築され新耐震基準に適合していること。
  2. それ以前の建築でも耐震診断で安全性が確認され、これに準ずると認められること。

昭和56年6月以降に着工したものであれば耐震診断は不要であり、現実に耐震基準に適合しているかは不明である。

着工日の確認は確認済証があればよく検査済証は不要であり、建築法令等の適合性は担保されていない

既存住宅売買かし保険

  1. インスペクション(建物状況調査など)が行われている。
  2. 構造上の不具合や雨漏りがなく、住機能に深刻な欠陥がない。
  3. 既存住宅売買かし保険契約を締結するための検査基準にも適合している。
  4. 希望すれば同保険に入ることができる状態が保証されている。

インスペクションは目視・計測等の方法で劣化事象の有無のみを調査し、瑕疵の有無や欠陥の原因を明らかにするものではない

インスペクションは瑕疵のないことや、調査時点からの時間の経過による変化がないことを保証するものではない

インスペクションは建築法令等への適合性を判定するものではない

情報開示

【開示情報】

  1. 新築時の適法性の有無
  2. 長期優良住宅などの認定の有無
  3. 住宅性能評価や設計図書関連情報などの各種データ
  4. 過去の維持管理の履歴
  5. 維持管理計画の有無
  6. 給排水管など設備の点検・診断の履歴
  7. 防蟻、修繕、リフォーム・改修などの実施状況

安心R住宅調査報告書は、宅建業者が確認した結果を記載したものであり、情報の正確性について事業者団体や国が保証するものではない

保険・保証

  1. 構造上の不具合や雨漏りに対する保険・保証
  2. 給排水管や住宅設備、リフォーム工事にかかる保険・保証
  3. シロアリ関連の情報

かし保険の保険期間は最大5年保険金額は最大1,000万円である。

マンションの場合

【開示情報】

  1. 管理規約
  2. 修繕積立金の積立状況
  3. 大規模修繕計画の有無
  4. 共用部分の修繕履歴に関する情報

相談窓口

  1. 認定する事業者団体がトラブルの相談窓口を設置し、予期せぬ困り事が生じたときにスムーズに連絡を取れる先があるというアフターフォローの安心感を提供する。

まとめ

いかがでしたか?

安心R住宅は、開示情報として各項目の「有」「無」「不明」は示されるものの、どの程度からを“安全”と判断するかは個人の捉え方による部分もあります。

また各種制度の組み合わせることによって安心をプランディングしているものの、各制度に内在する限界について解決されているわけではありません

基礎的な品質の保証やこれまでの点検・修繕状況など詳しい情報が開示されること、どんな保険や保証が付くか分かること、相談できる窓口があることといった点で「安心R住宅」が購入者に与えてくれる安全性の担保や安心感は一定以上のものがあるといえます。

一方で、従来の仕組みや制度を組み合わせ、個々の安心材料となる情報を収集して積み上げていくだけであれば「安心R住宅」でなくとも同水準またはそれ以上の安全性をもった中古のおうちを購入することもできるでしょう。

売主から必要な情報をできる限り引き継ぎ安全な住まいの確保につなげていくサポートになること、基礎的なチェックや情報収集を一括して行えるものとなっていることといった点で便利な制度となっていることは間違いありませんが、あくまで「安心R住宅」もひとつの目安・ブランド名に過ぎないのであって、絶対に安心・安全と言い切れるものではありません

やはり最後は自らひとつひとつ丁寧に確認し、納得のいくまで情報を収集すること疑問点を放置することなく解決させて検討や契約を進めていくことが何より重要になると思います。